辻四郎ギターの特色
驚異の音質・低音を奏でるギター
低音が響く秘密はサウンドボードの厚さにあります
ギターは弦の振動がサウンドボード(表板・裏板)に伝わり、ボディに共鳴することで音が響きます。サウンドボードの出来がギターの音質の決め手になります。一見サウンドボードが薄ければ振動しやすいように思われますが、これだと音が軽くなり思ったより響きません。
逆にサウンドボードが厚いと低音がしっかり出るようになり、音質が格段に良くなります。
辻四郎はこの特性に着目し、サウンドボードを厚くし低音が響く重厚な音質を実現いたしました。
ただ言うは易し、行うは難しです。なぜならばサウンドボードが厚いギターは振動せず音が共鳴しにくくなるためです。
サウンドボードが厚くても音を響せられる仕組み
低音を響かせる構造にするにはサウンドボードを厚くする必要があります。しかしサウンドボードが厚いと振動しなくなり音が響かなくなります。この矛盾解決を、私どもでは半プレス工法と材質選定さらに、ブレイシングの工夫により実現いたしました。
材質を選りすぐった単板構造
量販品のギターのサウンドボードには、主に「合板」と呼ばれる化粧材とコア材を張り合わせた板が使用されています。
特色はコストが安く固い点です。ただ合板は縦方向の筋目と横方向の筋目を重ねて張り合わせるため、厚くなるとほとんど響かなくなります。
これに対し、当工房では単板でサウンドボードを製作しています。単板は1枚板であり、合板に比べ柔軟に振動します。低音を響かせるためには、単板が適しています。
半プレス工法と手加工による調整仕上げ
アーチトップギターは中央部がアーチのように盛り上がっています。量販品の場合、プレス工法(すべて機械で仕上げる)が一般的ですが、当工房では半プレス工法により仕上げています。半プレス工法とは、機械である程度の形を形成したら、あとは手作業で調整し仕上げる方法です。機械仕上げでは厚いサウンドボードは響きません。木と対話しながら、人の手による加工があって初めて優れた音質を実現できるのです。
独自のブレイシング調整
サウンドボード内面のブレイシングにも音を響かせる工夫を盛り込んでいます。ブレイシングは本来ボディの変形を防ぐためのものですが、形状や配置を工夫することで音の響きをよくすることもできます。
当工房では、より音の響くブレイシングをマーチンやギブソンといった一流メーカーの修理を通じて、独自のブレイシング配置を試行錯誤の上あみだしました。サウンドボードが厚くてもよく響くギターの秘訣です。
一定品質の材質単板で上位材質同等音質を実現
当工房では、一定品質以上の材質であれば、上位材質と同等の音質を実現することができます。例えばシトカ・スプルース材でも最高級のアディロンダック・スプルース材と同等の音質を実現いたします。
ギター音質の良さは加工技術で決まります。一般的な材質であっても優れた加工をすることで、格段によくなります。
無論さらによい材質を使用すれば、さらに良い音質になります。
当工房では50年にわたる研究と試行錯誤で培った技術で、最高品質のギターをおつくりいたします。
プロのミュージシャンの方が、私どものギターで演奏された際に驚かれるのが、パワー・フラットレスポンス・プレイヤビリティなど最高のクオリティと音の響きの良さです。通常はどのようなギターにもそれぞれ癖があります。例えば音が響かないデッドポイントなどです。
ミュージシャンの方は手にされたギターの良い部分を活かしつつ、デッドポイントはテクニックで補って演奏されるのが常だそうです。ところが私どものギターには「デッドポイントが見当たらない」という感想を頂戴します。
丁寧なハンドメイド造りも要因の一つではありますが、それだけではありません。私どものギターは通常のギターよりも低音が響く構造になっています。低音が響くほど音質が格段によくなります。例えばオーディオスピーカーも重低音が響くほど音質が良くなります。
私どものギターが通常のギターより低音が響くのには明確な理由があります。そのポイントについて解説いたします。